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東京都墨田区江東橋4-24-5 協新ビル402A1.自社の発明について特許を取得できた場合でも、先に基本特許など、より広い概念の特許を取得されている場合もあります。
特許権は排他権に過ぎませんので、特許を取得できても製造販売が出来るとは限らず、安心は出来ません。さらに、設定登録された特許の公報発行により特許法第103条が適用され、特許権の侵害には過失が推定されます。
したがいまして、自社技術を実施する前には侵害予防調査が必要になります。
A2.調査の精度(漏れ)を減らすには、調査範囲を拡げる必要がありますが、精度を100%に近づけようとすれば、かかる時間が指数関数的に増加します。そのため、現実には漏れがゼロの調査は不可能と言って良いと思います。
しかしながら、他人の特許権等を侵害しないという保証はできませんが、調査を行うことで、不意に警告状を送付されたり訴訟を提起されるというリスクは大幅に低減できます。
A3.先行技術調査では、発明提案やその請求項(案)の新規性や進歩性等、特許性を否定する公報・文献を権利状況に関係なく、特許分類とキーワードの組み合わせにより、下位概念も含めて100〜300件程度、調査します。
一方、侵害予防調査では、対象となる製品等(イ号)を包含する請求項を、特許分類を中心に上位概念も含めて調査します。上位概念も含めた検索では調査件数が1000件以上となるため、検索対象を権利存続中および出願係属中(生きているもの)に限定して、費用や時間がかかり過ぎないようにすることが多くなります。
そのため、先行技術調査と侵害予防調査は、別々に行うことを勧めております。
A4.検索式が1つのみの場合、類義語等キーワードの選択漏れや特許分類付与の誤差等により、必要な特許公報が見つからないことが多くなります。
1つの検索式で100〜300件を調査するのではなく、FI記号とキーワードの検索式、Fタームのみの検索式、近接演算を用いた全文キーワード中心の検索など、検索方針の異なる式を5〜10程度作って先行技術調査を行うと、調査漏れが少なくなります。
A5.テキストマイニングとは、形式化されていないテキストデータを単語などに分割し、その出現頻度や相関関係などをデータマイニングの手法を使って解析することで、文脈を判断して重要な単語を取り出す手法です。
従来のパテントマップ作成の場合、検索式を用意して公報を読み込み、課題や対象を分類付けする作業が必要となり、数週間の期間を必要とすることも珍しくありませんでした。テキストマイニングを用いた分析を行えば、数千件から3万件までの大規模データを数日で分析することも可能です。
ただし、公報を実際に読み込んで分類付けした分析結果と比べると、精度的に劣る部分もあります。また、用意した公報リストにノイズ(不要な公報)が多いと、無意味な分析結果となる場合もあります。
A6.IPC分類とは国際特許分類のことで、セクション/クラス/サブクラス/メイングループ/サブグループの階層があり、約7万の項目に分類されています。請求の範囲の発明主題に対して付与されます。
FI記号とは、日本の技術に合わせてIPC分類を細分化したもので、約19万の項目があります。IPC分類の階層に展開記号や分冊識別記号を加えることで、細分化をしています。IPC分類と同じく、請求の範囲の発明主題に対して付与されます。
Fタームとは、特許庁の審査官が機械検索をするための分類で、約34万の項目に分かれています。請求の範囲の発明主題だけでなく、実施例や従来技術に付与されることもありますが、技術分野によっては付与されなかったり、FI記号に比べて付与漏れや付与誤りが多いという欠点もあります。
A7.特許庁の分類付与方法は、最初に請求の範囲の発明主題にFI記号を付与します。
次に、FI記号に対応するテーマコード(Fタームの最初の5桁)を決定します。そして、請求の範囲や明細書に記載された構成、製法、材料、目的、効果等にそのテーマコード内のターム(Fタームの下4桁)を付与します。
最後に、コンコーダンス(対照表)を用いて、機械的にFI記号をIPC分類に変換します。出願人や代理人が願書へ記載したIPC分類が、そのまま公開公報等に載るとは限りません。
A8.米国特許商標庁(USPTO)では、USクラスという米国特許分類を付与してから、体系の全く異なるIPC分類へ変換していました。そのため、IPC分類の付与は不正確です。
米国特許調査を行う際には、USクラスを中心に英語キーワードを組み合わせて検索します。IPC分類を用いる場合でも、補助的に使用する必要があります。
なお、USPTOとEPOは、ECLA(エクラ)/ICO(アイコ)をベースとしたCPC(Cooperative Patent Classification)を導入しました。今後、米国特許はIPC分類と同体系のCPCでも検索できるようになりますが、当面はUSクラスとCPCの併用が必要です。
A9.欧州特許庁(EPO)では、ECLA/ICOというIPC分類を細分化した分類を用意していましたが、EPOは2013年1月より、ECLAとICOをベースとしたCPCへ移行しました。IPC分類を用いても欧州特許調査は可能ですが、CPCを用いた方がより精度の高い検索が可能になります。
なお、欧州特許公報のうち約70%が英語、約20%がドイツ語、約10%がフランス語で公開されますが、登録公報のクレームについは英独仏三カ国語で公示されます。
A10.現状、中国や韓国の特許情報には、IPC分類をさらに細分化した特許分類は用意されておりません。そのため、IPC分類とキーワード等の組み合わせにより検索を行う必要があります。
なお、2013年6月4日に、中国特許庁もCPCの導入を決定しました。また、2013年6月5日には、韓国特許庁もUSPTOとCPCのトライアルを行うことを合意しました(下記リンク参照)。
http://www.epo.org/news-issues/news/2013/20130604.html
http://www.uspto.gov/news/pr/2013/13-19.jsp
したがいまして、将来的には中韓の特許情報も、CPCを用いて検索できるようになると考えられます。
A11.マニュアル調査とは、キーワードによる絞り込みは用いずに、調査対象となる技術分野の特許分類が付与された特許公報を、全て目視して行く調査方法です。
かつてデータベースが普及していなかったり、高価だった時代に、特許分類ごとに整理された紙公報ファイルを、手めくりで読んでいた時代の名残で、現在もこのような呼び方をしています。
今では紙公報を手めくりする機会もほとんどありませんが、「マニュアル調査」では、IPCやFIなど特許分類のみの検索を行い、データベースで20年〜30年分の特許公報を読み込んで行くことになります。
マニュアル調査は、無効資料調査において特許庁(登録調査機関)が見落とした公報を探したい場合や、言葉で表すことが難しい構造系の調査を行う場合に有効な手法です。
ある発明分野の特許分類が付与された公報を、マニュアル調査で全て調べれば、その発明に新規性が有るかの否か、概ね判断できます。
しかしご存じの通り、進歩性を否定する文献は、対象発明と同一分野に限られません。公知の関連分野からの転用として、進歩性が否定される場合もあります。
したがいまして、マニュアル調査を行って無効資料が見つからなくても、調査範囲外の関連分野文献により、進歩性が否定される場合もあります。マニュアル調査で無効資料調査を行う際には、注意が必要です。
A12.特許庁の保有する特許等の情報のデータの一部を、XML等の標準的なデータの記述方法を用いて記述して整理したデータです。整理標準化データは、民間のデータベース業者等へ販売されています。
このデータには、FI/Fタームの更新情報、出願人名義変更情報、出願や権利の経過情報等も記録されています。
整理標準化データを活用することで、最新のFI/Fタームで古いFI/Fタームが付与された出願を遡及的に検索できたり、新出願人名による旧出願人名特許の検索や生死情報を考慮した検索等が可能になります。
A13.日本では以下のサイトにありますように、公開・公表・再公表公報が原則木曜日、登録実用新案公報登録も木曜日に、登録公報(特許掲載公報)は水曜日に発行されます。
http://www.jpo.go.jp/torikumi/kouhou/kouhou2/hakko.htm
意匠公報は原則月曜日に、商標登録公報は原則火曜日に、商標公開、国際公開公報は木曜日に発行されます。審決公報は金曜日に発行されます。
外国については、米国は公開公報が木曜日 登録公報が火曜日、デザインに関する意匠特許が火曜日に発行されます。
欧州は公開(A)も、登録(B)も水曜日に発行されます。
PCTの国際公開(WO)公報は木曜日に発行されます。
日本の特許庁は電子データをインターネットでも提供していますので、IPDLなど日本のデータベースには、公報内容が即日反映されることがほとんどです。
外国データベースでは必ずしも即日に反映される訳ではないようですが、USPTO、EPO、WIPO等のサイトでは即日反映されているようです。
A14.SDIとはSelective Dissemination of Informationの略です。特許調査では 予め検索式を登録しておき、毎週発行されるライバル会社の公開公報や
登録公報を監視することを言います。来年より特許異議申立て制度が施行されますので、より重要性が高まると考えられます。
SDIでは検索式を登録して毎週監視することが多いですが、特許分類が改定されたり、新しい技術キーワードを追加する必要が生じ、検索式を変更する場合もあります。日本のFI/Fタームの改定については、テーマ改廃情報およびFI改正情報として、年数回程度、特許庁ホームページに掲載されます。
http://www.jpo.go.jp/seido/tokkyo/seido/bunrui/fi/index.html
また、IPCの更新情報については、以下に掲載されます。
http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/kokusai_t/ipc8wk.htm
したがいまして、上記の情報等を参照のうえ、年に何回かSDI検索用の特許分類やキーワードの見直しを行ったほうが良いでしょう。
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